天願大介のなまずブログ

2016年11月23日

諸事交々、アニメ映画上映

毎年この時期になると体調を崩す。医者に行ったら「昨年の同じ日に来てますね」と言われた。同じ症状だ。休みたいけどやたら忙しい時期でもありバタバタ慌ただしく過ごしている。

先日、福島県いわき市の市民芸術祭「玄玄天」で『魔王』『赤の女王』を上映する企画があった。教え子の会田君が芸術祭のスタッフをやっている。彼の実家(洋品店)の二階がギャラリーになっていて、そこで上映させてもらった。
いわきのお客さんたち何人かに、『赤の女王』は福島を描いている映画だと言われた。牛だけに飯舘村をイメージするのはわかるが、意味不明の言語も震災後のディスコミュニケーションのことを示しているのだろうと言う。あれは震災後の一連の作品の一つでもちろん無関係ではないが、俺としては福島だけでなく日本全体を覆う大きな話のつもりで作ったのだった。しかし、そういう反応があるということは現地の実感は俺の思っているよりもずっと深刻だということで、これは東京だけで上映していてはわからない。いろいろ考えさせられた夜であった。(これを書いているときまた大きな地震があった。問題はまだ終わっていないのである)

『魔王』より

りりィさんが亡くなった。『魔王』の撮影のとき一日だけのお付き合いだった。『魔王』の中では唯一まともな人物の役である。町のあちこちに貼り紙をし、スタッフが寝泊まりしていた空き家の居間で月船さんとの長い芝居があり、最後にトイレでメッセージを残して絶命する。『魔王』のような非商業的な映画にもひょいという感じで出てくれて、超低予算の現場でも楽しそうで、とても素敵な女性でした。本当に感謝しています。

荒戸源次郎氏が亡くなった。荒戸さんは時々お会いする先輩で、カッコのいい人だった。一緒に仕事をしたことはない。最後にお会いしたのは荒戸さんがなぜか演出した安部公房についての芝居のとき、新国立の楽屋だった。お通夜の献花の列に並びながら荒戸さんとのいろいろを思い出す。どれも俺にとっては個人的な思い出なのでここには書かない。お疲れ様でした。合掌。

『Poolside Man』より

デブこと渡辺紘文が東京国際映画祭スプラッシュ部門の作品賞をもらった。『プールサイドマン』という作品だ。寒風の中六本木に行くとまた太っていた。立方体が更に膨らんで球型に近づいていて、満月のような面に笑みを浮かべている。カッとなって腹にパンチを入れてやったが平然と笑い続ける。脂肪に守られているのだ。
言っておくが、こいつはただの馬鹿なデブではない。「大田原愚豚舎」の名にふさわしく馬鹿の一念で映画を作り続けたことがこの賞に繋がった。ただの馬鹿なデブではなく、映画を撮る馬鹿なデブなのだ。体力のないときは近寄らないほうがいい。『プールサイドマン』はいずれどこかで公開すると思うので、そのときは体調を整えて見てやって下さい。

12月の千歳船橋で『魔王』を上映する。そのとき短編『島の大一番』も上映することにした。これは俺の(唯一の)アニメ作品だ。子供の頃からアニメーションを愛好してきて一家言ある俺だが、セルアニメには興味ないので紙芝居的なアニメを考えた。このときスズキコージ画伯にはじめて画を依頼した。それがきっかけで、『世界で一番美しい夜』では冒頭にやはりコージさんの画を使ったアニメ、本編中にはアニメと実写を合成して入れ込んでみた。『デンデラ』のときは題字と老婆たちのイメージで協力していただいた。なまず映画を立ち上げると決めたとき、俺はまずコージさんに電話してなまずのイラストを描いてもらった。二作の題字もスズキコージ画伯の筆による。
声の出演は盟友田口トモロヲ氏と小林麻子嬢の二人。小林麻子嬢は「魔王の妻」としてなまず映画に連続出演している。ちなみに西部邁先生のアシスタントはついにクビになったらしい。

『島の大一番』より

あるとき相撲中継を見ていたら、お相撲さんがインタビューに答えて、ぜいぜい息を荒げながら「自分の相撲を取りきるだけです」などと言う。どのお相撲さんが出てきても何を聞かれても皆同じことを言うのである。それが面白くて、「自分の相撲を取りきる」とは一体何のことなのか考えはじめ、その言葉に触発され出来上がったのが南洋を舞台にした冒険大相撲活劇『島の大一番』だ。自分としては大変気に入っている。これぞジャパニメーションだと言って歩いたけど誰も聞いてくれなかった。皆、どうかしている。
アニメ愛好家として、アニメ映画を作るという野望は当然持っている(なまず映画ではタイトルバックで人形アニメに挑戦した)。本来アニメーションというものは呪術魔術的な力を駆使して無生物に魂を注入する淫祀邪教秘儀秘教の術である。どんな変態的なことも反社会的なことも許されてしまう悪魔の表現なのに、最近これが儲かるらしい。
呪術なら俺の得意とするところなので、ぜひ我がなまず映画もアニメ界に潜り込みたいものである。