天願大介のなまずブログ

2014年12月21日

赤の女王

この夏撮影した「なまず映画、あるいは第二の選択」第二弾『赤の女王 牛る馬猪ふ』はいよいよ12月27日から上映をスタートする。

『赤の女王』はこの春から上映している『魔王』の続編で、嘉子や喜久夫がまた登場する。しかし直接『魔王』と繋がっている話ではない。だから『赤の女王』からご覧いただいても差し支えない。
『魔王』は世界がメルトダウンを始め、すべての境界線が溶けていく中、日本的な「悪」を体現する魔王が何かよくわからないことを企んでいるという話であった。そして魔王は、善だか何だかよくわからない女によって成敗される。
ところが『赤の女王』で、あの町(牛河原)に再び異変が起きるのである。今度の敵は巨大な悪ではなく、小さな、ごく個人的な悪意から派生した謎の奇病だ。それに感染し壊れた人間の輪が広がっていく。
第二楽章のテーマは「免疫」、つまり内なる恐怖。免疫が狂えば己が己を攻撃してしまうことになる。そうなるともうどこにも逃げ場はない。外部の刺激が引き金になって自滅の連鎖が始まるとあっという間に種は絶滅する。それが歴史の必然だ。人類の危機を嘉子はどう食い止めるのか?

この映画は『魔王』よりわかりやすいと思う。実力のある面白い俳優さんたちが参戦してくれて賑やかな映画になった。しかし、もちろん普通の映画ではないのでご安心下さい。わかりやすいものが、本当にわかりやすいとは限らないのである。

さて、今回の選挙を見てもメルトダウンが進行していることは明らかだ。
『魔王』で描いたように磁場も狂っているので、方角を指し示す羅針盤はもう信じられない。しかも全力で走らなければ同じ場所に居続けることすら出来ない。この国だけの話ではないから移住したって多少の時間差があるだけ、それもどっちに転ぶかわかったものではない。
つい現実逃避したくなるけど、それは最悪の選択だ。
「これからの時代は現実逃避するヤツから死んでいくのよ」これは嘉子の台詞である。
こんな時代だからこそ、目をカッと開いて現実を睨み、うんうん呻って必死に考え、自分が信じていることを本気でやっていくしかない。だから俺はなまず映画を作る。映画の役割は現実逃避だけではないのだ。

『赤の女王 牛る馬猪ふ』は年末ザムザ阿佐ヶ谷で公開開始、年明けから『魔王』と共にあちこちで上映していきます。現実逃避を拒絶し映画の可能性を信じるあなた、上映会場でお待ちしています!